そして誰もいなくなった

   

きっと君は来ない~一人きりのクリスマスイ~ブ

おぉいえぁ~

クリスマスってなんだよそれ、おいしいの?的なことすらも忘れていた去年のクリスマス。

仕事から帰ってご飯食べて飲みながらそろそろ寝る準備でもしようかと思いかけていた時に、普段は鳴りもしない携帯が鳴るわけだ。

だ、誰?結構夜中ですけど…。

そこには私が最後に働いた飲食店の従業員の名が。

仮にこいつをビーバーと呼ぼう。(センス…。)

このビーバーは私が働いていた当時バイトで入ってくれていた。

そして私とオーナーシェフの仲は結構、険悪だった。

とある日、オーナーシェフがこのビーバーを来月から正社員にするからレオさんバイトになってくれない?と言ってきた。

そう来たか。

瞬時に腹を括った私は、

レオ

バイト?私を辞めさせたいだけでしょ?ストレートにそう言ったらいかがですか?でしたら引継ぎもあるので今月いっぱいはまだ働きますが、今月末で辞めさせていただきます。

オーナー

いや、誰も辞めろなんて…ゴニョゴニョ

こいつどこまで卑怯なんだか。

で、退職願も翌日には渡しビーバーに半月ほどかけて引継ぎをしたのだけれども、仕事量多くて当然すぐには覚えきれないワケですよ。

ハッキリ言って私は2.5人分ぐらいの仕事をして、その上売上にもかなり貢献していました。これだけは自信持って言えます。ガンガンワイン売ってたもん。

今思うと、よくできたなって鳥肌立ちますよ。

オーナーシェフに盾突こうが険悪であろうが、ヤツが私をクビにしなかったのはこういった理由である。

まだ事務作業やら実務にも慣れないビーバーだったけど彼なりに頑張っていましたし、ぼちぼち慣れればいいよくらいに言ってたら、オーナーシェフは年賀状の作成やら住所録やらの作り方も教えといてって言うんですよ。

つまりエクセルやワードまで教えとけってこと。は?年賀状?今、まだ夏にもなってませんけど?

っていうか、そもそもPCの操作が初心者並みのビーバーにどうやってエクセルの使い方教えるワケ?

アタシだって自分で休みの時とかにコツコツ独学して、やっと市販ソフトには劣るものの使い勝手の良い売上表とか作れるようになるのにどんだけかかったと思ってんの?

店の予約システムもいろんなWEBツールやら勉強して地道な努力で作ったんだよ?

それをたったの半月でどうやってできるようにするワケ?

それにPC使えない、勉強すらしようともしないお前が言うな。

人手が足りてるならそれでいいんですよ?人手が足りないからもう一杯いっぱい仕事抱えなきゃならない羽目になるわけだけれども、できればできるだけ仕事量は増えます。

とりあえずビーバーにはエクセルとかはもう自分で勉強するしかないから、とりあえず今ある表の関数とか入ってるところいじらなければいいだけだからと言ってコピペの仕方と復元の仕方だけ教え、年賀状はもう業者さんに投げろと言ったんだけども。

だってアタシPCの先生じゃないし。他に引き継ぐこといっぱいあるし。効率を考えれば業者さんに投げる方がビーバーのためだからだ。

引継ぎもほぼ終わり退社まで残り1週間を切ったころ。

最後だからと一人で店中の大掃除を毎日し、掃除するところもなくなってきたので他に掃除することありますか?と聞いたところ、

いや、無い。

では、何をしたら良いですか?

 

そんなの俺に聞かないでよ(笑) おいビーバー、バイトに仕事与えるのお前の仕事だろ?2号店目の店長やるんだろ?お前がきちんと管理しないと?

ビーバー

・・・・・・・・(板挟みになって辛い…)

狭い店に3人しかいないんですよ。で、仕事引き継いだばっかりのビーバーにそんな指令出せるはずもなく、そして退社するまでは私は社員のはずなんだけども。

では指示がないのなら引き続き掃除できるところ見つけて致しますがそれでよろしいですか?

掃除するところもないけど仕方ないからキレイなところをまた掃除しました。

掃除と皿洗い以外の仕事をさせてもらえない。お客様の対応もさせてもらえない。地獄の1週間でした。

こんな陰湿な仕打ち、一生忘れないけど。

歯を食いしばって1週間耐えました。

4年近くも頑張って店を支えた人間に対する仕打ちがそれなのね…。

バチが当たればいい!

と思っていたのだけど、時が経ち飲食業界の社畜という呪縛から解放されもうそんなことどうでもよくなっていたら、まさかのビーバーからの電話ですよ。

もしもし…?

ビーバーです。
レオさん、オレ辞めようと思ってるんスよ。

ま、そんなこったろうと思ったよ。一応聞く。
なんで?

聞くところによると、

① 1年後に2号店を出したい。(これは私が働いている時から言っていた)

② 2号店目に予定しているのは常連のお客様がらみの物件。立地条件良くお客様情報によるとビルの完成が1年後。このお客様のいろんな太い繋がりを利用したいという目論見がオーナーシェフにはある。

③ お客様情報を鵜呑みにし、早速2号店目を任せる料理人を探して条件の合う料理人ゲット。

④ この頃実際にはビルの建設さえまだ始まっていなくて、少なくとも1年では完成不可能な事判明。

(だけど1年ちょっとくらいなら今の店で料理人を働かせるだけの余力はある。それにゲットした料理人もう職場に辞表出してるし今更計画伸びそうだから辞めるの待ってなんて言えないし 、今ここで捕まえとかないと料理人探し大変だし。)

⑤ 料理人も雇うしもうレオは邪魔なので、何でもオレの言うこと聞くこのバイトのビーバーを2号店目の店長を餌に社員にして、レオのクビ切ろう!(ここでレオ退職)

⑥ レオ退職の翌日から料理人(ゴリラと呼ぶことにする)とビーバーが入社。3人体制での営業が始まる。

⑦ 2号店目にと予定していた店舗のビル自体の完成が1年後には絶対無理なことがゴリラにバレる。

ゴリラは1年後に2号店目のシェフにという条件で前の店を辞めて入社したのに、

ゴリラ

2号店目はいつになるか分からない、社会保険いつ入るのか分からない、前の店では料理長やってたのに今は皿洗いやら仕込みやら雑用ばかりやらされるんですけど。

約束が違うとなり、ゴリラさん今月いっぱいで辞めること決まっんすよ…。

ふ~ん。

この二人が社会保険にこだわるのは家族がいるからだ。それに入ると言いながら入らないのは立派な契約不履行、詐欺行為だ。

ちなみにこの2号店計画は私も知っていた、というか2号店には私は反対していた。まだ早いと。やるなら他の事業をした方がいいと。

それに常連のお客様が確かな方でも、よく考えもせず情報を鵜呑みにして料理人を今から雇って、もしそのビル立たなかったらどうするわけ?

案の定私の予想通りになり、それならそれで他のテナント探せばいいのに、そのお客様がらみのビルでないと出店はしない、そのお客様とのふっといパイプの方が大事だからとゴリラとの契約条件も無視し、 前の店ではバリバリ料理作っていたゴリラを料理もさせず飼い殺しにしていたのだ。

そしてビーバーにも

社会保険は入ると言いながらいつまでたっても入らないし、給料安いし、やることないのに無駄に早い時間に出勤させられる、嫁もその会社なんかおかしくない?って不審がるし 、辞めたレオさんの悪口しか言わないし、うんたらかんたら…。

(散々悪口言いながらもレオはそれでも仕事だけはできたと言っていたらしいが、これは単にビーバーへの当てつけに言ったのだろうと想像がつく)

だから俺もレオさんの事あんま良く思ってなかったんだけど、やっとレオさんの気持ちや行動が分かってあの人の言動のおかしさに気づきました。

レオさん、すんません。

そんなのどうでもいいよ。大事にされていないことに、使い捨てにされていた事に気が付いた?

ハイ、遅まきながら。

アイツはね、アタシが言うまで雇用保険にすら入らなかったヤツだよ? 社会保険とか入るわけないじゃん。いかに安い給料でこき使うしか考えてないヤツだよ?

それに1年後に2号店出すからゴリラ雇ったのに、お客様がらみのビルが1年後に完成しないって判明したなら別の店舗探すべきじゃない? そもそもの計画がお客様がらみのビルに店舗構える前提とかおかしいでしょ。従業員の人生よりお客様とのパイプが大事なんだよアイツは。

で、この店のお客様はオレの料理を食べに来てるんだからと言ってゴリラに料理させてないんでしょ、どうせ。

その通りです。

そういうヤツだよ。自分の利益しか頭にないヤツだよ。

で、次どうすんの?まだ飲食店にいるつもりなの?

もう飲食店はいいス。実は、ウチ来ない?って声かけてもらってる会社があるんス。

良かったやん!そこは休みとか社会保険とかその他条件しっかりしてんだろうね?

ハイ、そこは大丈夫です。ちゃんと雇用契約書があるそうです。

もう飲食店に未来はないよ、新天地で頑張ってね~という感じで電話は終了。

      

ざまーーーーーーーーーーーーーーーみろ

とりあえず口に出して言ってみました。

結果的に私は勝利したのですから。

ただね、ホントにどうでもよくなっていたみたいでね、

何の感慨も無かった、強いて言うならばやっぱりそうなったか。って思ったのが正直なところ。

以前の記事で飲食店批判を散々して、従業員を大事にしない店は淘汰されると私は言い散らかしていた。それが関わりのあった店で現実味が増してきたというだけの話だ。

でもつくづく思う。

結局はすべてが自分に還ってくる。これぞまさしく因果応報。

私にした仕打ちも、過去辞めていった人たち、ゴリラやビーバーにした仕打ちも契約不履行もすべて、従業員の信頼を失い従業員の退職という形で自身に還ってきたのだ。

誰が手を下さずとも、自分で自分の首を絞めていたのだ。

そしてこれは始まりに過ぎない。

私は飲食業から身を引いてから一切、飲食業界の人間と話をしていない。私が受けた仕打ちも誰にも話していないしこれからも話すつもりはない。もう終わったことだし、どうでもいいからだ。

ただ、ゴリラとビーバーはどうかな?

当然周りはなんで辞めたの?って不思議がるだろうし。

飲食業界は狭いよ?お客様の耳に入るのは時間の問題だよ?

そして立て続けに人が辞めていくことにそろそろお客様も気づくだろうね。

あなたの才能と人気で持っているお店なんだから、あなた一人でもなんとかなるんでしょうね。それに一人で何でもできるんでしょ?

頑張ってください。

でも、もういい加減気づいた方がいい。

どんなに才能があろうと、飲食店は働いてくれる人あってこそだと。

従業員を大事にしなかったツケは結局、自分が払うことになるんだと。